
前回クリティカルシンキングの大切さはわかったけど…実際にどうやって鍛えればいいんですか?



とても良い質問ね!知識として知っていても、練習しないと身につかないのがクリティカルシンキングなの。今日は、日常でもすぐ実践できるトレーニング法を5つ紹介するわ。



えっ、そんなにすぐ始められるんですか?



もちろんよ。ちょっとした意識とコツを知るだけで、今日からでも“考える力の筋トレ”はスタートできるの。特別な知識や経験は必要ないから安心してね。つまずきやすいポイントも合わせて、一緒に実践していきましょう!
現在のような情報があふれる時代では、「考え抜く力」=クリティカルシンキング を日々の生活で活かすことがますます重要になっています。
この記事では、初心者でも今日からできる具体的なトレーニング法と、つまずきやすい障壁の乗り越え方まで、研究データをもとにわかりやすく解説します。


- クリティカルシンキングを実際に鍛える5つのトレーニング法
- トレーニングを始める前に知っておきたい「つまずきやすい落とし穴」
- なぜ感情コントロールも大事なのか?意思決定の質を高めるコツ
- 研究レビューからわかる実践上のポイント
- 継続のコツ&おすすめの練習習慣
🔎クリティカルシンキングは「小さな練習の積み重ね」で誰でも鍛えられる



やっぱり…僕みたいな普通の人でも、本当に身につくんですか?



もちろんよ。クリティカルシンキングは、特別な才能や難しい知識がなくても、日々の習慣で鍛えられるスキルなの。
実際、University of Michiganの教育資料(出典)でも、クリティカルシンキングを伸ばすには「考え方の型を練習すること」が有効だとまとめられています。筋トレで筋肉をつけるのと同じように、日々少しずつ「思考の型」を繰り返していくことがコツなんです。
たとえば、次のような小さな意識が、すべてトレーニングになります。
- 目にした情報の「出典・根拠」を確認する
- 他に反対の意見はないか?を探してみる
- その情報は自分に本当に当てはまるのか?を考える
- 感情に流されず、いったん立ち止まって整理する



こうして聞くと…意外と普段の生活の中でもできそうですね!



その通り。大事なのは “知って終わり” ではなく、“実際に考える練習” を積むことなの。特にこれから紹介する5つのトレーニング法は、初心者でもすぐ始められて、実践を通して考え方の質を磨ける内容よ。
🔎 今日から始める!クリティカルシンキングを鍛える5つの実践法





さっそくここから、誰でもすぐ始められるクリティカルシンキングのトレーニング法を紹介していくわね!
①「事実と意見」を分けるクセをつけよう



じゃあ実際に、SNSでよく見かける投稿を一緒に考えてみましょう!
【実践ワーク】
例:『このサプリメントは1粒にビタミンDが100mg含まれています。だから毎日飲めば健康になれます!』
さて、この文章の中で“事実”と“意見”はどこでしょう?
事実:「このサプリメントは1粒にビタミンDが100mg含まれています。」
→ 実際にラベルや成分表で確認できる、客観的な情報です。
意見:「だから毎日飲めば健康になれます!」
→ 投稿者の考えや主張であり、必ずしも全員に当てはまるとは限りません。
👉 このように、文章を分解して「どこまでが事実で、どこからが意見か」を見分ける練習をすると、情報の受け取り方がクリアになります。



こうやって具体的な例で練習すると、普段の情報も整理しやすくなりそうですね!
②「なぜ?」「本当?」を3回繰り返して深掘りする





では、次は“なぜ?質問”を練習してみましょう。
【実践ワーク】
例:SNSで「○○は危険!」という投稿を見たとき
1回目:「なぜ危険なの?」
→ 〇〇の成分が△△に影響を与えるから
2回目:「そのデータは信頼できるの?」
→ 小規模な実験結果だった
3回目:「他の研究や反対意見はある?」
→ 条件によっては影響がないという報告も
👉 こうやって3回の「なぜ?本当?」を繰り返すと、表面情報に流されずに整理できます。



なるほど…深掘りしていくと冷静になれますね!
③「反対の視点」も必ず探してみる



次は“反対意見探し”の練習よ。
【実践ワーク】
例:『○○サプリは健康に良い!』という情報を見たとき
- 反対意見:「○○は過剰摂取に注意」「一部の病気では推奨されない」
- 立場の違い:目的や健康状態で評価が分かれる場合も
👉 反対側も読むことで、思い込みに気づく自己調整力が育ちます。



たしかに…反対意見も材料なんですね!
④「具体例・データ」を探して裏付ける練習



次は“根拠探し”の練習ね。
【実践ワーク】
例:『○○を食べると健康になる!』
- データは? → どんな研究?被験者数・期間・条件は?
- 信頼性は? → 学術誌の査読付き論文?権威に頼りすぎていない?
👉 データを確認するクセが、推論力を高めます。



なるほど…感覚じゃなくて具体例を探すんですね。
⑤「自分ならどう説明する?」を考える



最後は“説明練習”よ!
【実践ワーク】
- 友達に1分で説明するなら?
- 図解にまとめるなら?
- 要点だけ3行で整理するなら?
👉 アウトプットが思考整理力を育て、理解を深めます。



たしかに…説明しようとすると、自分の理解が整理されますね!
※このパートは、University of Michiganの教育資料(出典)も参考に構成しています。
🔎「感情コントロール力」がクリティカルシンキングを左右する





でも…正直、冷静に考えようと思っても、どうしても焦っちゃったり、不安になっちゃうときもあります…。



すごく大事な視点ね。実は、クリティカルシンキングのカギを握るのは“感情の扱い方”でもあるのよ。
不安・焦り・怒りは判断を狂わせるリスクになる
私たちは判断するとき、感情の影響を強く受けます。
とくに以下のような状態では、思考の冷静さが失われやすくなります。
- 不安で最悪のケースばかり想像してしまう
- 怒りで極端な行動をとってしまう
- 焦りでリスクを見落としてしまう
- ワクワクしすぎて冷静な検討を怠ってしまう
👉 感情に振り回されると、「一度決めた意見を変えづらくなる」「リスクを過小評価・過大評価してしまう」などのバイアスが強まります。



たしかに…不安になってるときって、冷静に情報を見られてない気がします。
「感情予測力」が高まると、意思決定の質が上がる



実は最新の研究でも、“感情を予測してコントロールする力”がクリティカルシンキングに役立つことがわかっているの。
➡ これは Affective Forecasting(感情予測) と呼ばれる考え方で、
「この選択をしたら、未来の自分はどう感じそうか?」と一歩引いて考える力です。



未来の自分の気持ちを想像するんですね…!



そう!これがとても重要なの。実際、Affective Forecastingの研究(出典)では、感情予測が上手な人ほど冷静に選択肢を整理し、後悔しにくい判断ができると報告されているわ。
👉つまり…
- 今の一時的な感情ではなく、少し先の自分をイメージする
- 過去の同じような場面で自分がどう感じたかを参考にする
- 決断後の満足感・後悔の可能性も考慮する
こうした思考が「感情に飲み込まれにくい判断力」を育ててくれます。
不安を感じたら「一歩引く思考スイッチ」を使おう



でも…感情って、そう簡単にコントロールできるものなんですか?



もちろん完全にコントロールは難しいわ。でも『今ちょっと不安に流されてるかな?』と気づけるだけで、思考を冷静側に戻すスイッチになるのよ。
実践のコツ
- 「今の自分は焦ってないか?」を自問する
- 5分だけ深呼吸して一旦距離を取る
- 感情を書き出して整理する
- 小さな第三者目線で自分の状況を客観視する
👉 感情の自己調整力(Self-Regulation) を意識するだけでも、思考の質は格段に上がります。
感情の扱いも「思考の筋トレ」の一部



クリティカルシンキングは、知識の問題ではなく“習慣の問題”でもあるの。感情に気づく→整理する→考え直す…これも毎日の練習なのよ。



なるほど…考える練習だけじゃなく、気持ちに気づく練習も大事なんですね!
🔎 クリティカルシンキングが続かない原因は「思考の壁」にある





実践法はわかったんですけど…実は何度かやろうとしても途中で挫折しちゃうんですよね…。



とても良い気づきよ!実は研究でも、クリティカルシンキングを続ける上で“思考の壁”にぶつかりやすいポイントがあると報告されているの(出典)
【障壁①】「思い込み(メンタルモデル)」が手強い敵になる
人は誰でも、自分なりの考え方のクセや先入観(=メンタルモデル)を持っています。
- 自分が正しいと思う情報だけを集めがち
- 経験や感情に合う結論を無意識に選びやすい
- 反対意見を「間違い」と決めつけてしまう
👉 これが確証バイアスや固定観念の原因になり、視野が狭くなります。



たしかに…“最初にこう思ったから”って後から考え直せなくなること多いかも…。
【対策①】「反対意見もいったん読んでみる」習慣を持とう



大事なのは“反対意見は敵じゃなく材料”と考えるクセよ。
- 意図的に別の立場の主張も検索してみる
- 相手の前提条件は何か?を考えてみる
- 結論の前に「一度保留する」姿勢を持つ
👉 こうした柔軟性が「自己調整力」を育てます。
【障壁②】情報処理が「脳の負荷」に耐えきれなくなる
現代は情報が多すぎて、整理するだけで疲れてしまうことも。
- 情報量に圧倒される
- 調べるうちに迷子になる
- 「よくわからないから有名人の意見に乗る」が楽に…
👉 これが「思考停止」につながりやすいポイントです。
【対策②】「一旦整理メモ」を習慣にする



たしかに…調べてる途中で“何がわからないのかわからない”状態になります…。



だからこそ【考えを一度紙に書き出す】だけでも整理が進むの。
- 事実/意見の分類を書き出す
- 今持ってる仮説を書き出す
- 何がまだ不明なのか?を書き出す
👉 「考えの可視化」こそ、思考整理力の基礎トレーニング です。
【障壁③】「感情と価値観」が思考を無意識に支配する
- 好き嫌いで評価が揺れる
- 不安・恐れでリスク判断が極端になる
- 仲間内の意見に流されやすくなる
👉 こうした無意識バイアスは誰にでも起こります。
【対策③】「一歩引く自己対話」で冷静ゾーンに戻す



感情はゼロにできないけど『今私はどんな感情に影響されてる?』と気づくだけで流されにくくなるわ。
- 今の判断は冷静?焦り?
- 一晩置いてみる
- 第三者ならどう見るか?を想像する
👉 これは本文③の【感情予測のスキル】ともつながりますし、「今の自分の思考を客観視する」メタ認知の力もとても役立つポイントです。
メタ認知の仕組みはこちらで詳しく解説しています👇
🔗メタ認知とは?思考のクセに気づき人生を操縦する力を解説


まとめ:障壁は「気づき」と「練習」で必ず超えられる



思考のクセ・整理の負荷・感情の影響…色んな壁があるんですね…。



そう。だからこそ、【日々少しずつ意識する】ことが最強のトレーニングになるの。
- 反対意見も読む
- 書き出して整理する
- 感情に気づく
👉 この3つが日々の「クリティカルシンキングの壁越え練習」です!
※このパートはDwyerらの研究レビュー(出典)を参考に構成しています。
🔎 まとめ:クリティカルシンキングは「知識」ではなく「思考のクセ」づくり



なんだか、“考えること”そのものに前向きになれてきました…!



それが一番の成果よ!クリティカルシンキングは、特別な勉強法じゃなくて、日常で育てる“考え抜く習慣”なの。
ポイントはこの5つ👇
- 事実と意見を分ける
- 「なぜ?」を3回深掘りする
- 反対意見も読んでみる
- データで裏付ける
- 感情に気づく
👉 毎日この「小さな5つ」を意識するだけでも、確実に思考力は伸びていきます。
📝 今日から使える!習慣チェックリスト
□ ニュースやSNSで「事実」と「意見」を意識できた
□ 気になる話題に「なぜ?」「本当?」を3回以上問いかけた
□ 反対意見や別視点の情報も探して読んだ
□ 根拠となるデータや具体例を調べた
□ 判断に迷ったとき、感情を整理して一歩引いて考えた
👉 1日1つでもOK!コツコツ積み重ねが未来の力になります。



こうやって振り返ると、“ちょっとずつ続けられそう”って思えてきました!



その気持ちが一番大事よ。焦らず、楽しみながら考える習慣を育てていきましょう!


関連記事もあわせてどうぞ
🔗 クリティカルシンキングの基本から学びたい方はこちら👇


🔗 「自分の思考を客観視する力」をさらに深めたい方はこちら👇


📝 ご注意ください
・本記事は、信頼性の高い文献や論文をもとに専門知識をわかりやすく整理した一般情報です。
・内容には十分配慮しておりますが、個々の状況や悩みには専門家へのご相談をおすすめします。
・内容に誤りやお気づきの点がございましたら、そっとお知らせいただけると幸いです。
📚参考文献
- University of Michigan Medical School. (n.d.). Critical Thinking Competency Resource (RISE-HSE Innovation Competency: Critical Thinking).
https://medschool.umich.edu/sites/default/files/2025-01/RISE-HSE-Innovation-Competency-Critical%20Thinking.pdf - Patrick, V. M., Chun, H. H., & MacInnis, D. J. (2009).
Affective forecasting and self-control: Why anticipating pride wins over anticipating shame in a self-regulation context.
Journal of Consumer Psychology, 19(3), 537–545.
https://doi.org/10.1016/j.jcps.2009.05.006 - Dwyer, C. P., Hogan, M. J., & Stewart, I. (2023). An evaluative review of barriers to critical thinking in educational and real-world settings. Frontiers in Psychology, 14, 10300824.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10300824/