【初心者向け】ラテラルシンキングの鍛え方｜例題と練習法で“発想力”を科学的に伸ばす方法

最近“新しいアイデアが出ない…”と感じていませんか？

• 会議で「何か提案ある？」と聞かれると、毎回頭が真っ白になる
• 企画を考えるたびに、いつも似たようなアイデアばかり…
• 発想力って、やっぱり“センスのある人”にしか無理なの？

そんなふうに感じている方へ、
今日は「ラテラルシンキング（水平思考）」という思考法をご紹介します。

このあと、初心者でもできるトレーニング方法や、
脳の仕組みに基づいた“ひらめき力”の育て方もわかりやすく紹介します🧠

「自分にはアイデアセンスがない…」と思っている方こそ、
きっと思考の幅が広がるきっかけになるはずです✨

今すぐ使えるラテラルシンキングの例題や、今日から始められる練習法もたっぷり紹介！
仕事や日常の「思考のマンネリ」を打破するヒントが、きっと見つかります。

🧩ラテラルシンキングとは？｜“ひらめき”を生む水平思考の基本

ラテラルシンキング（Lateral Thinking）とは、日本語では「水平思考」と訳される、発想の枠を外すための思考法です。
これは従来の「順序立てて考える」ロジカルシンキング（論理的思考）とは対照的に、常識や前提にとらわれず、新しい視点から問題を捉える方法です。

🔸「垂直」ではなく「水平」に考えるとは？

ロジカルシンキングが「筋道を立てて、まっすぐ正解に向かう垂直思考」だとしたら、
ラテラルシンキングは「視点を横にズラして、いろんな可能性を探る水平思考」。

たとえば、ある問題に対して「普通はこう考えるよね」というルートではなく、
あえてズラした視点や奇抜な切り口を試すことで、これまで思いつかなかったアイデアにたどり着くことができます。

🔍具体例｜こんなときに使える

• いつも同じアイデアしか出てこないとき
• 斬新な発想が求められるプレゼン・企画会議
• 子どもの柔軟な考えに刺激を受けたとき
• 解決策が見つからない問題に行き詰まったとき

このような場面で「視点をズラす」思考法が役立ちます。

📚学術的な定義と研究背景

教育心理学や創造性研究の分野では、ラテラルシンキングは問題解決能力の一種とされ、
論文でも明確に次のように定義されています。

“ラテラルシンキングとは、既存の枠組みに依存せず、複数の視点から創造的解決策を導く能力である”（Lawrence & Xavier, 2013｜出典）

また、Kivら（2024）は、ラテラルシンキングを数値的に測定できる指標を開発し、教育現場での活用を目指す研究を進めています（出典）。

🤖 AI時代にも求められる理由

単純作業やロジック重視のタスクはAIが得意になってきた今、
「まだ誰も思いついていない答え」や「ゼロから価値をつくる力」は、人間ならではの武器です。

その土台になるのが、まさにこのラテラルシンキング。

だからこそ、教育・ビジネス・リーダーシップ研修など、幅広い分野で注目されるようになっています。

✏️初心者向けラテラルシンキングの鍛え方｜例題と練習法で“柔軟な発想”を育てるには？

ここでは、実際に使われている具体的な練習法や例題を紹介しながら、
日常でも取り入れやすい方法もあわせて解説していきます。

🧩1. ラテラルシンキングを鍛える3つのステップ

①【前提を疑う】思い込みをほぐす練習

問題を見たとき「こうに決まってる」と思った瞬間、あえて逆の可能性を考えてみましょう。
これはGuら（2022）の研究でも、創造性トレーニングの初期段階として有効とされています（出典）。

例：13個のオレンジを3人でどう分ける？
→ 普通は「1人4個ずつ分けて、1個余ったら切って分ける」と考えがちですが、
ラテラルな発想では「全部ジュースにして3等分する」「種を植えて将来みんなで分ける」など、分け方は1つではないと気づくことが大切です。

②【視点を変える】他人になりきって考える

「別人の立場になるワーク」は、想像力を刺激し、枠を超えた思考に効果的です。

たとえば…

・5歳の子どもだったら？
　→「大人が気にしないことに疑問を持つ」「遊びやすい工夫を考える」など、自由な発想が広がります。

・配達員だったら？
　→「この荷物をどうやって早く安全に届けるか」「お客さんが受け取りやすい時間帯は？」など、普段とは違う視点で考えられます。

・宇宙飛行士だったら？
　→「地球では当たり前のことが宇宙ではどうなる？」「重力がないとき、どうやって食事をする？」など、新しい発想が生まれます。

③【既存ルールを壊す】“非常識”を仮定してみる

「電気が使えない」「言葉を使えない」など、制限のある状況をあえて考えることで、発想の転換が生まれます。
たとえば、「もし電気が使えなかったらどうやって生活する？」「言葉が使えなかったらどうやって伝える？」と考えてみると、普段とは違うアイデアが自然と浮かびやすくなります。

📚研究で証明されたラテラルシンキング練習法

Mustofa & Hidayah（2020）の研究（出典）では、問題解決型学習（PBL）によって、
生徒のラテラル思考が育つことが示されています。

この授業では、正解がひとつに決まらないテーマを扱い、

• グループで多角的な視点から意見を出し合う
• 「正解を出す」よりも、どれだけ多様な発想ができたかを重視する
• 答えをひとつに絞らず、従来の枠にとらわれない、多様で新しい発想を評価の軸にする

といったアプローチが採用されました。

こうした方法は、教育現場だけでなく、ビジネス研修や創造性ワークショップにも応用可能とされています。

🎮ゲームで鍛えるラテラルシンキング｜Lambらの研究より

Lambら（2015）は、ラテラル思考を“ゲーム設計”でトレーニングする手法を提案しています（出典）。
問題設定 → ルール設計 → 解決策の構築というプロセスそのものが、創造的思考を刺激します。

たとえばこんなトレーニング

• 空を飛べない鳥を主人公にしたゲームを作る
• “間違った地図”で宝探しゲームを設計しよう
• 自販機の代わりになる意外なものは？など

💬実践のコツ｜日常生活でできるトレーニング

初心者におすすめなのは、“ひとこと日記”形式での発想転換トレーニング。

・毎日1つ、「当たり前を疑う一文」を書いてみる
例：「なぜ仕事は朝から始まるのが普通なのか？」

・1つの問題に「10通りの解決法」をひねり出す練習
・子どもや動物になりきって物事を見るマインドセット

これらはシンプルながら、脳の“固定概念回路”をやわらかくするのに効果的です。

☑️初心者がやりがちなNGポイント

• ❌ すぐに“正解”を求めようとする
  　→ ラテラルシンキングでは、ひとつの正解にこだわると発想の幅が狭まり、思い込みから抜け出せなくなってしまいます。多様な視点やアイデアを出すこと自体が大切です。
• ❌ アイデアに優劣をつけすぎる
  　→ 「変なアイデア」や「突拍子もない発想」こそ、固定観念を打ち破るきっかけになります。最初は質より量を意識し、自由な発想を歓迎しましょう。
• ❌ そもそも「ズラす」という感覚がつかめない
  　→ まずは1日1テーマで「普通と違う考え方」を意識するだけでも、少しずつ柔軟な思考が身につきます。

このように、ラテラルシンキングは特別な才能がなくても鍛えられるスキルです。
楽しみながら少しずつ“思考をズラす習慣”を身につけていきましょう！

🧠ラテラルシンキングの効果と脳科学の視点｜“ひらめき”はどう生まれるのか？

🔍ラテラル思考で活性化する脳のしくみとは？

ラテラルシンキングによって活性化するのは、主にデフォルト・モード・ネットワーク（DMN）と呼ばれる脳の回路。
これは「ぼーっとしているとき」や「意識が内側に向いているとき」に働く領域で、創造性や自由な連想に深く関係していると言われています。

さらに、「前頭前皮質（PFC）」という脳のコントロールセンターも、アイデアを選び取る・再構成するといった働きで重要な役割を果たします。

つまりラテラルシンキングとは、
🧠「ぼんやりとした発想（DMN）」 × 🧠「選択と判断（PFC）」のコラボで生まれるんです。

💡“寝かせる思考”がひらめきを生む？

これは「インキュベーション効果」と呼ばれ、
問題から一度“離れる”ことで無意識が情報を整理し、新しい視点を生み出す力が高まることが研究でも示唆されています（出典）。

✨論理思考と組み合わせると効果UP！

ラテラルシンキングは、論理的思考（ロジカルシンキング）と組み合わせることで、さらに効果を発揮します。

• ロジカル：筋道を立てて情報を整理・比較・分析する
• ラテラル：枠を超えて新しい視点やアイデアを生み出す

🛑ラテラルシンキングの限界と注意点｜正しく使うために大切なこと

ラテラルシンキングは創造的で柔軟な発想を助けてくれる一方で、「使い方を間違えると逆効果になることもある」という落とし穴があります。

ここでは、研究で指摘されている限界や注意点をもとに、ラテラルシンキングを効果的に使うためのヒントをお伝えします。

⚠️1. 創造性トレーニングの限界｜効果のばらつきに注意

Guら（2022）の研究（出典）では、4つの訓練法（SCAMPER、ランダム接続、スキーマ違反、単純発想）を比較した結果、訓練法ごとに発散的思考の異なる側面（流暢性・柔軟性・独創性）に効果が現れることが明らかになりました。ただし、この結果は「全員に同じ効果が現れる」ことを保証するものではなく、個人の特性や訓練法との相性によって効果に差が生じる可能性があります。

💡つまり…

• 訓練法によって伸びやすい側面が異なるため、自分に合った方法を試しながら続けることが大切です。
• 効果がすぐに出なくても焦らず、練習を重ねることで少しずつ柔軟性が育っていきます。

⚠️2. “ズラしすぎ”のリスク｜アイデアが現実離れすることも

Malthouseら（2022）の研究（出典）では、ランダムな刺激を使ったアイデア発想法がかえって創造性を妨げる場合もあると報告されています。

たとえば…

• 問題の本質から大きくズレすぎてしまう
• 「ユニークさ」ばかりが目立ち、実行性や妥当性が無視される

💡現実の課題解決では「奇抜＝良いアイデア」とは限りません。

💡3. ロジカルシンキングとセットで使うのが正解

ラテラルシンキングは、あくまで「発想の出発点」。
そこから先は、ロジカルシンキング（論理的思考）で現実に落とし込んでいくことが重要です。

🌀下図のように、「発想の拡散」から「実行の収束」へとフェーズを切り替えるイメージを持つとわかりやすいです。

ロジカルシンキングの基本については、こちらの記事でも詳しく解説しています👇
🔗ロジカルシンキングを日常で活用する方法｜3ステップで論理的思考を身につける

✍️経験談｜“自由すぎた発想”が空回りしたことも…

そのとき学んだのは…

• ラテラルな発想はあくまで素材
• 最後にちゃんと筋道を立てて整理する工程が必要

まとめ｜“ズラす前に、整える意識”が思考を進化させる

ラテラルシンキングは、発想の枠を広げてくれる頼もしい道具です。でも、万能ではありません。

📌ポイントは…

• ズレた発想も、最後には整えるプロセスが必要
• 実践には柔軟さと論理性の両立が求められる
• 「なんでもアリ」は逆効果になることも

❓よくあるQ&A｜ラテラルシンキングの疑問に答えます

❓Q1. ロジカルシンキングとラテラルシンキング、どっちが大事？

A：どちらも大切です。役割が違うので、シーンに応じて使い分けるのが理想です。

• ロジカル＝筋道を立てて結論を導く思考
• ラテラル＝既存の枠を外れて新たな視点を探す思考

たとえば…

✔️ 会議でアイデアが出ない → ラテラルで突破口を探る
✔️ 出た案を実行に移す → ロジカルで具体化・精査する

❓Q2. 仕事でどうやって活用できるの？

A：新規アイデアの創出・既存課題の打開策を考えるときに活躍します。

• マーケティングのアイデア出し
• チームのコミュニケーション改善
• 業務フローの見直しなど

❓Q3. 発想が飛びすぎて「現実的じゃない」と言われます…

A：飛躍した発想はOK！でも最後は“現実に落とす”工程を大切に。

ラテラルシンキングは、あくまで「可能性を広げる」ためのプロセスです。
そこから現実的な行動に落とし込むには、ロジカルシンキングでの収束が必要です。

❓Q4. ラテラルシンキングとクリティカルシンキングの違いは？

A：方向性が異なります。

項目	ラテラルシンキング	クリティカルシンキング
目的	新しい視点・可能性の発見	情報の妥当性や論理性の評価
特徴	発想を“広げる”	発想を“吟味する”
タイミング	アイデアを出す初期段階	意思決定の精査・見直し段階

👉 たとえばクリティカルシンキングは、「SNSで見た情報が本当に正しいか？」を見極めるときにとても役立ちます。

詳しくはこちらの記事で解説しています👇
💡 基本を学ぶならこちら：情報に流されない思考術：ビジネスで活かす批判的思考（クリティカルシンキング）入門
🧠 実践トレーニングはこちら：初心者向けクリティカルシンキングの鍛え方｜今日から始める5つの実践トレーニング法

📝まとめ｜「ズラす×整える」であなたの思考はもっと自由になる

ラテラルシンキングは、
「当たり前」を疑い、「非常識」を楽しみながら、
新しい視点を生み出すための“思考の冒険ツール”です。

でも、ただズラすだけでは空回りしてしまうことも。

だからこそ…

🌱自由な発想（ラテラル）× 論理的な整理（ロジカル）

この両輪をバランスよく回していくことが、
アイデアを「形」にしていくコツなんです。

この記事のポイントまとめ

視点	内容
💡 ラテラル思考とは？	常識を疑い、発想をズラしてアイデアを広げる思考法
🧠 脳の仕組みとの関係	右脳優位・柔軟な思考回路がヒントに
🎮 実践法	ゲーム設計や“ひとこと日記”などのトレーニングが効果的
⚠️ 注意点	「ズラしすぎ」は逆効果。ロジカルとの切り替えが大事
🔁 活用のコツ	発散と収束をセットで使うと創造性が活きる！

🚀まずはここから｜今日からできる3ステップ

1. 「これって本当に常識？」と問いかけてみる
2. 正解を探すのではなく“ズレた考え”を一つ出してみる
3. 出したアイデアを“どうすれば現実化できるか”考えてみる

🔗関連記事もチェック！

📝 ご注意ください
・本記事は、信頼性の高い文献や論文をもとに専門知識をわかりやすく整理した一般情報です。
・内容には十分配慮しておりますが、個々の状況や悩みには専門家へのご相談をおすすめします。
・内容に誤りやお気づきの点がございましたら、そっとお知らせいただけると幸いです。

📚参考文献

1. Lawrence, A.S. & Xavier, S.A. (2013).
   Lateral Thinking of Prospective Teachers.
   LIGHT HOUSE: Journal of Educational Reflection, 1(1), 28–32.
   https://files.eric.ed.gov/fulltext/ED545802.pdf
2. Kiv, A., et al. (2024).
   A new measure of lateral thinking and its relation to convergent creativity.
   Contemporary Educational Technology, 16(1), Article e694.
   https://doi.org/10.55056/cte.694
3. Mustofa, R. F., & Hidayah, Y. R. (2020).
   The Effect of Problem-Based Learning on Lateral Thinking Skills.
   International Journal of Instruction, 13(1), 463–474.
   https://doi.org/10.29333/iji.2020.13130a
4. Lamb, R., et al. (2015).
   Integrating serious games to foster lateral thinking and creativity in STEM education.
   European Journal of Educational Research, 4(2), 71–82.
   https://doi.org/10.14204/ejrep.36.14110
5. Gu, X., Ritter, S. M., Delfmann, L. R., & Dijksterhuis, A. (2022).
   Stimulating Creativity: Examining Four Training Techniques.
   Journal of Creative Behavior, 56(3), 312–327.
   https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jocb.531
6. Sio, U. N., & Ormerod, T. C. (2009).
   Does incubation enhance problem solving? A meta-analytic review.
   Psychological Bulletin, 135(1), 94–120.
   https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/a0014212
7. Malthouse, D., et al. (2022).
   Limits of Random Stimulation in Lateral Thinking Training.
   Cognition, 226, 105167.
   https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010027721003607