やる気に頼らない習慣化|MINDSPACE×SIMPLERで続ける設計法

白衣を着たうさぎの薬剤師みどりんと、スーツ姿のまなぶくんがデスクでノートパソコンを見ながら「習慣化の仕組み」について話しているイラスト。背景には運動靴・本・書類・カレンダーなど、健康・仕事・学習を象徴するアイコンが淡く描かれ、明るいクリームとグリーンの配色で前向きな雰囲気を表現している。

「今度こそ続けよう!」と決意したのに、気づけばまた三日坊主…。
そんな経験、ありませんか?💭

実は、行動が続かない原因は“やる気のせいではありません。
必要なのは「意志」ではなく、「設計」です。

まなぶくん

みどりん先生、どうしてやる気って、すぐなくなっちゃうんですか?

みどりん

それはね、始める仕掛けと続ける仕組みが分かれているからなの🌿

つまり、大切なのは2つのステップ👇

第1段階:行動を起こす← 「MINDSPACEモデル」
何が人を動かすのか?その心理トリガーを理解する。

第2段階:行動を続ける← 「SIMPLERモデル」
どうしたら自然と続くのか?その設計法を学ぶ。

この2つを組み合わせると、
「行動を起こして、自然に続けられる」 ――そんな習慣づくりが可能になるのです✨

本記事では、行動経済学に基づく2つのモデルを統合し、
あなたの「続かない」を変える習慣化の設計法をわかりやすく解説します。

📘この記事でわかること

  • MINDSPACEとSIMPLER ― 行動経済学で使われる2つの「行動設計モデル」
  • 「行動を起こす」と「行動を続ける」の違いとつながり
  • MINDSPACE × SIMPLERの統合フレームワーク
  • ダイエット・学習・仕事など、日常での実践例
  • 「意志ではなく設計で変わる」習慣化の科学的アプローチ

📚このシリーズについて

このシリーズは、行動経済学の知見を3段階で学ぶ構成になっています:

前々回「行動を変える9つの心理トリガー|行動経済学MINDSPACEで動かす仕組み」
前回「行動を続ける7原則|SIMPLERとやる気不要の仕組み」
今回:「両者を統合し、習慣化を完成させる方法」

各記事は独立して読めますが、シリーズで読むことで、より深い理解と実践応用が可能になります。

🌿 「始める勇気」も「続ける力」も、仕組みでつくれる。
今日からやる気に頼らない習慣化を一緒に設計していきましょう。

目次

行動を起こす心理トリガー(MINDSPACE視点)

「やらなきゃいけない」と思っても、なかなか体が動かない…。
そんなとき、必要なのは根性ではなく、きっかけです。

行動経済学では、人が「行動を起こす」瞬間には、無意識の心理的メカニズムが働いていると考えられています。
その仕組みを体系化したのが、MINDSPACEモデルです。

まなぶくん

行動のきっかけって、たとえばどんなものですか?

みどりん

いい質問ね。人が動きたくなるには、心のスイッチを押す要素があるの🌿

🌟 MINDSPACEとは? ― 行動を動かす9つの心理スイッチ

MINDSPACEは、政府や企業が行動変容を設計する際にも使われている、行動経済学の代表的モデルです。

人の意思決定を左右する9つの要素の頭文字を取ったもので、
私たちが「行動を起こす」きっかけを科学的に説明しています。

要素内容(簡単に言うと…)
M:Messenger
(伝える人)
誰が言うかで行動が変わる。
信頼できる人の言葉は行動を後押しする。
I:Incentives
(報酬)
損を避けたい心理が、行動の大きな原動力になる。
N:Norms
(社会的規範)
「みんなやってる」と知るだけで動きやすくなる。
D:Defaults
(初期設定)
最初から設定されている選択肢に従いやすい。
S:Salience
(目立ちやすさ)
情報が目に入りやすいほど、行動が起きやすい。
P:Priming
(先行刺激)
無意識の印象や言葉が行動に影響する。
A:Affect
(感情)
好き・嫌いなどの感情が行動を強く動かす。
C:Commitments
(約束)
公言や小さな約束が行動を後押しする。
E:Ego
(自己イメージ)
「自分らしくありたい」気持ちが行動を支える。

💡 「行動を起こす」ための3大トリガー

9つの要素すべてが重要ですが、習慣化の“最初の一歩”を踏み出すためには、
特にこの3つが効果的です👇

なぜこの3つなのか:

  • Norms:「みんなもやってる」という安心感が、新しい行動への抵抗感を減らす
  • Salience:忘れやすい人間にとって、「思い出す工夫」が最優先の設計要素
  • Commitments:小さな約束が、意志と無関係に行動を後押しする

だから、習慣化を始めるなら、まずはこの3つに注目しましょう。

1️⃣ Norms(社会的規範)

→ 「他の人もやっている」と感じると、安心して始めやすい。

📌 具体例:

  • 「朝活してる人が増えてる」と聞いて、自分も始めたくなる
  • ダイエット仲間が増えると、自分も頑張ろうと思える
  • 「○○さんも読書してる」と聞いて、読書習慣を始める

設計のコツ:
SNSで「#朝活」「#勉強垢」のようなハッシュタグを見つけ、
同じ目的を持つコミュニティに参加することでNormsの力を最大化できます。

2️⃣ Salience(目立ちやすさ)

→ 行動を思い出しやすい位置に置くことが大事。

📌 具体例:

  • 机の上にノートを開いておく
  • スマホの壁紙に目標を表示する
  • 朝一番に目につく場所に「やることリスト」を貼る

設計のコツ:
「やる気」よりも「視界に入る工夫」が、行動率を劇的に高めます。

3️⃣ Commitments(約束)

→ SNSや友人に「やってみる」と宣言すると、続けやすくなる。

📌 具体例:

  • 「今月からダイエット始めます」とSNSに投稿
  • 友人に「毎日勉強する」と宣言する
  • 家族に目標を話す

設計のコツ:
心理的な外的責任が生まれることで、意志に頼らず継続しやすくなります。

まなぶくん

たしかに、誰かに宣言すると頑張れるってあるかも…!

みどりん

そうなの。これが心理トリガーの力よ✨

🔍 MINDSPACEの本質 ― “やる気”を生み出すのではなく動ける環境を整える

ここで大切なのは、やる気を高めることではなく、動き出しを簡単にすること

人は「やる気が出てから動く」のではなく、動くからやる気が出る生き物です。

つまり、MINDSPACEは「行動の最初のハードルを下げるための設計」。
無理に頑張らなくても、自然に行動を起こせるようになるのが最大の強みです。

MINDSPACEで「行動を起こす」ためのきっかけができました。
でも、ここからが本当の勝負。
「始めたことを、どう続けるか?」――それが次のテーマです。

次の章では、この動き出しをさらに続けるための設計――
SIMPLERモデルの7原則を見ていきましょう🌿

🔗MINDSPACEモデルについてはこちらで詳しく解説しています👇

行動を続ける設計法(SIMPLER視点)

「よし、今日からやるぞ!」と決めたのに、数日で続かなくなってしまう――そんな経験、ありませんか?💭
行動を起こすことができても、それを続けるのは別の課題。ここで効くのが、行動経済学のSIMPLERモデルです。

まなぶくん

どうして続けるのって、こんなに難しいんでしょう…?

みどりん

やる気の波に頼るからよ。仕組みで続けられる設計に変えていこう。

💡 SIMPLERとは? ― 行動を“続ける”ための7つの設計原則

MDRCのBICSプロジェクトでも活用された、継続率を底上げする行動設計フレームです。

要素内容(簡単に言うと…)
S:Simple
(簡単に)
行動を小さく・明快にして実行率を上げる。
I:Implementation
(実装)
「いつ・どこで・どうする」を事前に決め、忘れを防ぐ。
M:Monitor
(見える化)
進捗を可視化して手応えを増やす。
P:Prompt
(促し)
通知や合図で思い出す仕掛けを作る。
L:Link
(関連づけ)
既存習慣に新行動をくっつける。
E:Engage
(関与)
楽しさ・当事者感を高めて主体性を引き出す。
R:Reward
(報酬)
小さなご褒美で行動を強化する。

🌱 「続ける仕組み」を作る3つの核

7原則を全部いきなりは不要。まずはSimple/Prompt/Rewardから。

1️⃣ Simple(簡単に)
→ 複雑だと挫折。1ステップだけに絞る。
具体例:

  • 「毎日30分運動」→ 1日5分ストレッチ
  • 「英語再開」→ 1フレーズだけ音読
  • 「毎日読書」→ 寝る前に1ページだけ
みどりん

小さく始める=大きく続くの合図だよ🌿

2️⃣ Prompt(促し)
→ 人は忘れる生き物リマインダーで継続率UP。
具体例:

  • スマホ通知「21時→日記」
  • カレンダーに週次運動ブロック
  • 習慣トラッカーで連続日数表示
まなぶくん

通知、意外と効きますね!

みどりん

思い出す設計が続ける力なの✨

3️⃣ Reward(報酬)
→ 小さな達成感が燃料。
具体例:

  • 1週間継続でカフェご褒美
  • チェックボックスにできた印
  • グラフ/カレンダーで続けた証を可視化
みどりん

見える達成が脳のごほうびになるよ🌿

🌿 今日からできる「続ける仕組み」チェックリスト

  • Simple:行動を小さくする(例:5分・1フレーズ・1ページ)
  • Prompt:思い出す仕組み(通知/週次ブロック/トラッカー)
  • Reward:続いた自分を褒める(○印・ご褒美・グラフ化)
まなぶくん

なんか…続けられそうな気がしてきました!

みどりん

それが設計で続ける力だよ✨

MINDSPACEで起こす、SIMPLERで“続ける
次章は、両者を束ねる
統合フレーム(習慣化モデル)です。

🔗SIMPLER7原則の詳細は【前回記事】を参考にしてください👇

MINDSPACE × SIMPLERで「続く習慣」をデザインする

「やる気に頼らない習慣化」を実現するには“起こす→続ける→定着させるまでをひとつの流れとして設計することがカギ。
それを可能にするのが、MINDSPACE × SIMPLERの統合モデル――行動経済学のナッジ習慣の仕組み化を結合した、科学的フレームワークです。

まなぶくん

2つのモデル、どうつながるんですか?

みどりん

心理で動かし、仕組みで続ける――この両輪で続く習慣になるの🌿

🚀 行動の旅は「3ステップ」で考える

前半で学んだこと:
ステップ① MINDSPACE=行動を起こす心理スイッチ
ステップ② SIMPLER =行動を続ける環境設計

ここから本番。この2つを一本のフローに統合します。

統合フレーム|MINDSPACE × SIMPLER を一体化

フェーズ核となる要素実践例目的
起こすNorms × Salience周囲と共有/見える位置にメモ動機を
引き出す
続けるSimple × Prompt1日5分設定/通知リマインダー実行を
簡単に
強化するReward × Commitments続いたらSNS報告モチベ
維持
定着させるLink × Engage既存習慣に組み込み+楽しむ自動化
まなぶくん

つまり、心理でスイッチを入れて、設計で自動運転にするってことですね!

みどりん

その通り🌿。続けられないは設計で減らせるの。

💡 実例で見る統合モデル|「朝の勉強習慣」を続ける

段階MINDSPACE要素SIMPLER要素具体的な設計
始めるCommitments(約束)Salience(目立つ)友人に「毎日やる」と宣言/参考書を机に開いたまま
継続Norms(社会規範)Prompt(促し)#勉強垢に参加/毎朝7時に通知
強化Affect(感情)Reward(報酬)成長の実感を記録/1週間続いたらカフェご褒美
定着Ego(自己イメージ)Link(関連づけ)「勉強する人」と自認/朝食後→勉強に固定化

🌱 MINDSPACE × SIMPLERの要点

  • 起こす=心理スイッチ(MINDSPACE)で動ける環境を作る
  • 続ける=努力の自動化(SIMPLER)で思い出す・小さく始める・褒める
  • 定着=両者の融合(統合モデル)で自然に続くへ

🌈 今日から使える「統合ステップ」

1️⃣ きっかけ設計(MINDSPACE)
👉 友人と約束/目標を目に入る場所へ

2️⃣ 継続設計(SIMPLER)
👉 1日5分に分解/通知とチェックの見える化/小さなご褒美

3️⃣ リデザイン
👉 3週間ごとに記録を見直し、続いた形へ微調整

理論はこれで完成。あとはあなたの生活(健康・学習・仕事)に落とし込むだけ
次は、目標別にテンプレを当てはめる実践編に進みましょう🌿

実践編:生活・仕事・学習で続く仕組みをつくる

「理論はわかったけど、実際どう使えばいいの?」
ここでは、MINDSPACE × SIMPLER統合モデルを日常の習慣化に落とし込む実践ステップを、3つの場面で示します。

まなぶくん

ついに実践編ですね!どう始めれば続きますか?

みどりん

目的別に小さく設計して、起こす→続ける→強化→定着の順で整えるのがコツよ🌿

🏃‍♀️ ① 健康習慣に応用する ―「やる気が続く」生活設計

よくある失敗パターン
❌ 「毎日30分ジョギング」→ 3日で挫折
❌ 「野菜中心にする」→ 外食で揚げ物を選ぶ
❌ 「早起き運動」→ 布団から出られない
なぜ? “やる気”前提。設計に置き換えると続きます。

例:運動・食事改善を継続したい

フェーズ行動設計のコツ実践例
起こすNorms × Salience仲間の取り組みを可視化/玄関にシューズを置く
続けるSimple × Prompt「1日5分ストレッチ」から/決まった時刻に通知
強化するReward × Commitments1週間続いたらご褒美/家族・友人に報告
定着させるLink × Engage歯磨き後にスクワット10回を紐づけ/推し音楽で楽しく
みどりん

頑張る設計じゃなく思い出す設計に変えると、続くのよ🌿

💼 ② 仕事・タスク管理に応用する ―「後回し癖」をなくす環境づくり

よくある失敗パターン
❌ 「今日中にやる」→ 夕方に先延ばし
❌ 集中したいのに通知で中断
❌ 優先度を決めないまま着手して迷走
なぜ? 決心依存。仕組みで自動化すると進みます。

例:先延ばしを減らし、進捗を出す

フェーズ行動設計のコツ実践例
起こすSalience × Commitments朝一で「今日の1タスク」を付箋に/同僚へ宣言
続けるPrompt × Simple25分集中+5分休憩(ポモドーロ)/通知はタスクのみ
強化するReward × Monitor完了タスクを見える化/日報やSlackで共有
定着させるLink × Engage出社直後=1タスクに固定/チームで小さな称賛文化
まなぶくん

やる気が出たらじゃなく、仕組みで勝手に進む感じですね!

みどりん

その通り✨ 意志ではなく設計 が仕事効率化の鍵だよ

📖 ③ 学習・自己成長に応用する ―「継続学習」をデザインする

よくある失敗パターン
❌ 「毎日英語」→ 1週間で途切れる
❌ 「資格勉強」→ 教材を開くまでが遠い
❌ 「読書」→ 量を盛って疲れて終了
なぜ? 目標だけ。プロセスを小さく・自動化すると続きます。

例:英語・資格・読書を習慣化

フェーズ行動設計のコツ実践例
起こすNorms × Salience学習グループに参加/机に教材を開いて置く
続けるSimple × Prompt「1フレーズ音読」「10分読書」/朝7時リマインド
強化するReward × Affect1週間継続でカフェ学習/成長ログで達成感
定着させるEgo × Link「学ぶ人」の自己像を言語化/朝食後=学習に固定

🌱 まとめ:MINDSPACE × SIMPLERで設計思考の習慣化を

行動設計の本質は3段階+統合

段階目的キーワード
起こすハードルを下げる心理スイッチ(Norms/Salience/Commitments)
続ける努力を自動化設計スイッチ(Simple/Prompt/Reward)
定着無意識化・固定化統合スイッチ(Link/Engage/Ego)

🌟 3領域に共通するチェックポイント

  • 入口:起こすための見える・宣言する・仲間化があるか
  • 自動化:続けるための5分化・通知・見える化があるか
  • ご褒美:強化のための小さな達成感が設計されているか
  • 紐づけ:定着のために既存習慣と連結されているか


今日からやる気に頼らない習慣化を、あなたの生活仕様に最適化していきましょう。

📝 ご注意ください
・本記事は、信頼性の高い文献や論文をもとに専門知識をわかりやすく整理した一般情報です。
・内容には十分配慮しておりますが、個々の状況や悩みには専門家へのご相談をおすすめします。
・内容に誤りやお気づきの点がございましたら、そっとお知らせいただけると幸いです。

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