不安な思考は「抑えていい」?最新研究が示す意外なメンタル改善法

思考を抑えることでメンタルが改善する可能性を示す研究をテーマに、考え込むまなぶくんと薬剤師うさぎのみどりんが並ぶイラスト

考えないようにしよう」と思ったのに、
気づけばそのことばかり頭に浮かんでしまう…。

そんな経験、ありませんか?

不安な未来、過去の後悔、人間関係のモヤモヤ。
忘れたいはずなのに、むしろ繰り返し思い出してしまう――。

実はこれ、あなたの意思が弱いわけではありません。
心理学では長い間、「思考を抑えようとすると逆に強くなる」と考えられてきました。

有名なのが、
「シロクマのことを考えないでください」と言われると、
かえって頭から離れなくなる現象です。

だからこそこれまで、
「無理に抑えず、受け入れましょう」といったアプローチが主流でした。

まなぶくん

やっぱり…考えないようにするのって逆効果なんですね…

みどりん

そう言われてきたんだけどね。でも、最近その“常識”が変わりつつあるんだ🌱

最新の研究では、
不安な思考を“適切に抑えるトレーニング”によって、

思い出す回数が減る
記憶があいまいになる
不安や抑うつが軽くなる

といった変化が確認されています。

さらに興味深いのは、
「ポジティブに考える」よりも効果が大きかったという点です。

つまり――
不安な思考は「無理に向き合うだけ」ではなく、「うまく止める技術」も必要かもしれない。

この記事では、そんな最新研究をもとに、

・なぜ思考は止まらなくなるのか
・本当に抑えても大丈夫なのか
・日常で使えるシンプルな方法

を、やさしく解説していきます。

「考えすぎてしまう自分」を責める前に、
その仕組みを知ることから始めてみませんか?🌱

この記事でわかること

・「考えないようにすると逆に考えてしまう」理由
・思考抑制は本当に悪いのか?最新研究の結論
・不安や心配が軽くなるメカニズム(脳の働き)
・ポジティブ思考より効果があった意外な方法
・日常で使える「思考を止めるシンプルなコツ」

目次

「考えないほど考えてしまう」は本当?心理学の定説

「考えないようにしよう」と思うほど、なぜかそのことばかり頭に浮かんでしまう。

この現象、実は心理学では古くから知られていて、とても有名な実験があります。

■ シロクマ実験とは?

アメリカの心理学者 ダニエル・ウェグナー は、こんな実験を行いました(出典)。

被験者に対して、

👉「シロクマのことを考えないでください」

と指示します。

するとどうなるか――

多くの人が、むしろシロクマのことを
何度も思い浮かべてしまったのです。

まなぶくん

え、それめちゃくちゃ分かります…!考えるなって言われるほど考えちゃうやつですよね😅

みどりん

そうそう。それが“普通の反応”なんだよ🌱

■ なぜ逆に考えてしまうのか?

この現象は、「皮肉な過程理論(Ironic Process Theory)」で説明されています。

簡単にいうと、脳の中では同時に2つの働きが起きています👇

①「その思考を追い出そうとする働き」
②「ちゃんと考えていないか監視する働き」

問題は②です。

「考えていないか?」を確認するために、
脳は一度その思考にアクセスしてしまう。

その結果――

👉 むしろ思考が強化されてしまう

という現象が起こるのです。

■ だから「思考抑制は危険」とされてきた

この研究をきっかけに、心理学の世界では長い間、

👉「思考を無理に抑えるのは逆効果」
👉「むしろ悪化する可能性がある」

と考えられてきました。

実際、フロイトの理論でも、

抑え込まれた感情や思考は、無意識の中に残り続けて、後から別の形で現れるとされています。

まなぶくん

じゃあやっぱり…不安とかは無理に止めない方がいいんですか?

みどりん

これまではそう考えられてきたね。でもね――ここからが面白いところなんだ🌱

■ でも、本当にそうなのか?

ここでひとつ疑問が出てきます。

もし思考抑制が本当に危険なら、
なぜ人は日常の中で、

・嫌な記憶を忘れられることがあるのか
・気持ちを切り替えられることがあるのか

こうしたことが起こるのでしょうか?

実は近年、脳科学の研究では――

👉 「思考をうまく抑える力」がメンタルの安定に関係している

可能性が指摘されてきました。

そして今回紹介する研究は、
この長年の常識に対して、

👉 「思考抑制は本当に悪いのか?」

を、はじめて“実験的に検証したもの”です。

👉 次は、この研究が明らかにした
「意外すぎる結論」を見ていきましょう。

思考は抑えてもいい?最新研究が示した意外な結論

これまで心理学では、

「思考を抑えると逆効果になる」と考えられてきました。

ですが、この常識を大きく揺るがす研究が発表されました。

■ 最新研究の結論

2023年に発表された研究では、
不安や恐怖に関する思考をあえて抑えるトレーニングを行ったところ、次のような変化が確認されました。

✔ 思い出す回数が減る
✔ 記憶があいまいになる
✔ 不安やネガティブ感情が軽くなる

つまり――

👉 「思考を抑える=悪いこと」ではなかった

どころか、

👉 メンタルの改善につながる可能性がある

という結果が示されたのです。

まなぶくん

えっ…逆に良くなるんですか!?今までの話と真逆ですよね😳

みどりん

そうなんだよ。ここが今回の研究の一番インパクトがあるポイントなんだ🌱

■ 「リバウンド効果」は起きなかった

特に注目すべきなのがここです。

これまで最も問題視されていたのは、

👉 抑えた思考があとで強くなる(リバウンド)

という現象でした。

しかし今回の研究では、

👉 リバウンドはほとんど確認されなかった

どころか、

👉 むしろ思考は弱くなっていった

という結果に。

■ ポジティブ思考より効果があった

さらに意外なのが、

👉「ポジティブなことを考えるトレーニング」

との比較です。

一般的には、

・前向きに考える
・ポジティブに置き換える

といった方法が勧められますよね。

ですがこの研究では、

👉 思考を抑えるトレーニングの方が、より効果的

という結果になりました。

まなぶくん

ポジティブに考えるよりも、“止める”方が効くってことですか…?

みどりん

そう。もちろん状況によるけど、“止める力”もかなり重要なんだ🌱

■ 不安が強い人ほど効果が大きかった

さらに注目すべきポイントがあります。

それは――

👉 不安やストレスが強い人ほど、効果が大きかった

という点です。

・もともと不安が強い人
・心配事が頭から離れない人

こういった人ほど、

👉 思考の鮮明さが下がり
👉 感情の負担が軽くなる

という変化が見られました。

■ なぜこんなことが起きたのか?

ここで疑問が出てきます。

👉 なぜ「抑える」だけで楽になるのか?

👉 なぜリバウンドしなかったのか?

実はこの背景には、脳の働きが大きく関係しています。

次は、「思考を止めると何が起きているのか?」
脳科学の視点からわかりやすく解説していきます。

なぜ思考を止めると楽になるのか?脳の仕組み

「思考を抑えると楽になる」

そう言われても、少し不思議に感じますよね。

無理に止めようとすると、
逆に苦しくなりそうな気もします。

では、なぜ今回の研究では――
思考を抑えることで、記憶や不安が弱くなったのでしょうか?

■ カギは「前頭前野(ぜんとうぜんや)」

この仕組みに関係しているのが、

👉 前頭前野(ぜんとうぜんや)

と呼ばれる脳の部分です。

ここは、

・集中する
・判断する
・感情をコントロールする

といった「ブレーキ役」を担っています。

まなぶくん

ブレーキ役ってことは、感情とか思考を止める働きがあるんですね?

みどりん

その通り。いわば“理性のコントロールセンター”だね🌱

■ 思考を止めると、記憶そのものが弱くなる

今回の研究で行われたのは、

👉 思考そのものを無理に否定するのではなく
👉 「思い出すプロセス」を止めるトレーニング

これがポイントです。

通常、私たちが不安になるときは、

👉 記憶を何度も思い出す
👉 そのたびに感情が強化される

というループが起きています。

しかし――

👉 思い出すのを止めるとどうなるか?

✔ 記憶の呼び出しが減る
✔ 情報があいまいになる
✔ 感情の強さも弱くなる

つまり、

👉 「思い出さない=記憶が弱くなる」

という変化が起きるのです。

■ 「考えない」と「検索を止める」は違う

ここはかなり重要なポイントです。

これまで問題とされてきたのは、

👉 「考えるな!」と無理に禁止する方法

でした。

このやり方だと、

・監視が必要になる
・逆に意識してしまう

ため、リバウンドが起きやすくなります。

一方で今回の方法は、

👉 思考の“検索”を止める(取り出さない)

というアプローチです。

まなぶくん

“考えないようにする”というより、“思い出さないようにする”感じなんですね🤔

みどりん

そうそう。その違いがすごく大事なんだよ🌱

■ 不安は「思い出す回数」で強くなる

私たちはつい、

👉 不安なことを何度も考えてしまいます。

でも実はこれ、

👉 思い出すたびに強化されている

とも言われています。

つまり、思考を止めることは「逃げ」ではなく

👉 感情の強化を止める行動とも言えるのです。

■ だから「抑える=悪い」とは限らない

ここまでをまとめると――

👉 思考をうまく止めることで
👉 記憶と感情の結びつきが弱まり
👉 不安も軽くなる

という流れが見えてきます。

まなぶくん

なんか…“無理に我慢する”っていうより、“仕組みとして弱くしてる”感じですね!

みどりん

いい視点だね。それが今回の研究の本質なんだ🌱

👉 次は、この仕組みをもとに
「日常でどう使えばいいのか?」を具体的に解説していきます。

日常で使える「思考を止める」シンプルな方法

ここまでで、

👉 思考は「うまく止める」と楽になる
👉 記憶や不安そのものが弱くなる

という仕組みが見えてきました。

では実際に、どうやって使えばいいのでしょうか?

今回の研究をもとに、日常で使える形にシンプルにまとめると👇

■ ステップ①:止めたい思考を決める

まずは、

👉 「繰り返し浮かんでくる不安」

を1つ決めます。

例えば👇

・仕事のミスを思い出してしまう
・将来の不安を考えすぎる
・人間関係のモヤモヤ

ポイントは、

👉 “よく出てくる思考”に絞ること

です。

まなぶくん

たしかに…毎回同じこと考えてる気がします😅

みどりん

それが“ターゲット”になるね🌱

■ ステップ②:合図(キュー)を決める

次に、

👉 思考が出てきたときの「合図」

を決めます。

研究では「手がかり語(キュー)」を使っていました。

日常ではもっとシンプルでOKです👇

・「今だ」と気づく
・心の中で「ストップ」と言う
・深呼吸を1回する

👉 ポイントは
“思考に気づく→すぐ反応する”こと

■ ステップ③:思い出すのを止める

ここが一番重要です。

👉 内容を深掘りしない

❌ やりがち
・原因を考える
・解決策を探す
・何度も反芻する

⭕ やること
👉 それ以上「思い出さない」

まなぶくん

え、それだけでいいんですか?

みどりん

うん。“戦わない”のがコツなんだよ🌱

■ ステップ④:別のことに意識を移す

思考を止めたあとは、

👉 軽く意識を切り替えます。

例えば👇

・目の前の作業に戻る
・体を動かす
・周りの音や景色に意識を向ける

👉 ここで大事なのは
“ポジティブにしようとしない”こと

無理に前向きに考えようとすると、

👉 逆に思考に引き戻されやすくなります。

■ ポイントは「うまくやろうとしない」

この方法で一番大事なのは、

👉 完璧に止めようとしないこと

最初は、

・また考えてしまう
・何度も戻ってくる

これが普通です。

でもそのたびに、

👉 「気づく → 止める」

を繰り返すことで、

👉 少しずつ思考は弱くなっていきます。

まなぶくん

なんか…筋トレみたいですね😳

みどりん

まさにそう。“思考のトレーニング”なんだよ🌱

■ この方法が向いている人

特にこの方法は👇

・考えすぎて疲れてしまう人
・同じ不安がぐるぐるする人
・頭を切り替えたいのにできない人

に向いています。

👉 「向き合い続ける」だけでなく
👉 「止める力」も使う

これが今回の研究から見えてきた、新しい選択肢です。

👉 次では、この方法を使ううえでの注意点と、
より効果を高めるコツをまとめていきます。

思考を止めるときの注意点と、うまく続けるコツ

ここまで読んで、

「思考を止めるって、意外と使えそうかも」

と感じた方も多いと思います。

ただ、この方法をうまく活かすためには、
いくつか大事なポイントがあります。

■ 注意①:すべての問題を「止めればいい」わけではない

まず大前提として、

👉 考えること自体が悪いわけではありません

例えば👇

・問題を整理するとき
・大事な判断をするとき
・改善策を考えるとき

こうした場面では、

👉 考えることはむしろ必要です

今回の方法は、

👉 「コントロールできない思考」に対して使うもの

まなぶくん

たしかに…考えすぎてるときと、ちゃんと考えてるときって違いますね🤔

みどりん

そう。“役に立つ思考”と“消耗する思考”を分けるのがポイントだね🌱

■ 注意②:無理に押さえつけない

もう一つ大切なのが、

👉 力でねじ伏せようとしないこと

❌ NG
・「絶対に考えるな!」
・「なんでまた考えてるんだ…」

こうやって自分を責めると、

👉 逆に思考が強くなりやすくなります。

⭕ OK
👉 「あ、また来たな」と気づいて止める

👉 この“軽さ”がとても大事です。

■ コツ①:「気づく力」を先に育てる

実はこの方法で一番重要なのは、

👉 止めることより“気づくこと”

思考は無意識に始まるので、

👉 気づかないと止められません。

おすすめは👇

・「今、同じこと考えてるな」とラベリングする
・1日に何回気づけたか意識する

👉 気づける回数が増えるほど、コントロールしやすくなります。

■ コツ②:短時間でOK(むしろ短い方がいい)

今回の研究でも、

👉 トレーニングは短時間×数日

で効果が出ています。

つまり、

👉 長時間やる必要はありません。

・気づいたら止める
・数秒〜数十秒で切り替える

これだけでOKです。

まなぶくん

思ってたよりハードル低いですね…!

みどりん

だから続けやすいんだよね🌱

■ コツ③:「戻ってもOK」と考える

思考は何度でも戻ってきます。

でもそれは失敗ではなく、

👉 トレーニングのチャンス

です。

・戻る → 気づく
・気づく → 止める

この繰り返しが、

👉 思考を弱くしていきます。

■ まとめ:思考は「向き合う」だけじゃない

これまで、

👉 不安は向き合うべきもの
👉 抑えるのはよくない

と考えられてきました。

でも今回の研究が示したのは、

👉 思考には「止める」という選択肢もある

ということです。

まなぶくん

なんか…“考えない力”って大事なんですね😳

みどりん

うん。現代は情報も不安も多いからこそ、必要なスキルかもしれないね🌱

もし今、考えすぎて疲れているなら

無理に向き合い続けるだけでなく、

👉 少しだけ“止める”ことを試してみてください。

それだけでも、頭の中が少し軽くなるかもしれません🌱

📝 ご注意ください
・本記事は、信頼性の高い文献や論文をもとに専門知識をわかりやすく整理した一般情報です。
・内容には十分配慮しておりますが、個々の状況や悩みには専門家へのご相談をおすすめします。
・内容に誤りやお気づきの点がございましたら、そっとお知らせいただけると幸いです。

参考文献

Mamat, Z., & Anderson, M. C. (2023). Improving mental health by training the suppression of unwanted thoughts. Science Advances, 9(38).
(出典)https://doi.org/10.1126/sciadv.adh5292

Wegner, D. M., Schneider, D. J., Carter, S. R., & White, T. L. (1987). Paradoxical effects of thought suppression. Journal of Personality and Social Psychology, 53(1), 5–13.
(出典)https://doi.org/10.1037/0022-3514.53.1.5

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