「“論理的に考えろ”と言われて戸惑った経験、ありませんか?」
ある日、仕事のミーティング後に、まなぶんはモヤモヤした表情でみどりん先生に相談しました。


ロジカルシンキングってよく聞くけど、実はよくわかってなくて…。定義とか、どう練習したらいいのかとか…



実はそれ、多くの人がつまずくポイントなのよ。でも安心して。ロジカルシンキングは特別な才能ではなく、誰でも身につけられる“考え方の型”なんです✨
AIが進化し、情報があふれる現代──論理的に考える力は“自分を守る武器”にもなります。今こそ“考え方の型”を身につけて、あなたの可能性を広げましょう。
この記事では、専門論文の知見をもとに「初心者でもわかるロジカルシンキング入門」をやさしく解説。心理学的背景・具体的な練習法・ビジネス応用まで、あなたの「思考力の土台作り」をサポートします。
- ロジカルシンキングの定義と基本
- 思考の落とし穴(認知バイアス)とは?
- 初心者でもできる鍛え方・例題
- 教育やビジネスでの活用法
- 今日から始める実践ポイント
ロジカルシンキングとは?誰でも習得できる「考え方の型」



先生、そもそもロジカルシンキングって“論理的に考える”っていうけど…実際どんなふうに考えればいいんですか?



いい質問ね!ロジカルシンキングは“正解を出すテクニック”じゃなくて、“筋道を立てて考える型”のことなのよ。
ロジカルシンキング(論理的思考)とは、物事を順序立てて整理し、矛盾なく一貫性のある結論にたどり着くための思考法です。
感情や先入観に左右されず、「なぜそうなるのか?」を冷静に整理していく力がポイントになります。
たとえば仕事の会議で企画を提案する時も
- 目的は何か?
- 現状はどうなっているか?
- 問題や課題はどこにあるか?
- どの選択肢がもっとも合理的か?
…と順番に整理すれば、納得感のある提案ができます。これこそがロジカルシンキングの基本的な姿です。
「考え方の型」は誰でも練習で身につけられる



ロジカルシンキングは生まれつきの才能じゃなく、後から練習すれば身につくスキルなのよ。



えっ、練習できるんですね!
専門論文でも、Facione(1990)がまとめたDelphi Report(出典)では「ロジカルシンキングは教育や訓練によって育成可能なスキルであり、実社会で幅広く活用できる」と示されています。
つまり、「論理的に考えろ!」と突然言われても焦らなくて大丈夫。
型を学んで練習を重ねれば、誰でも少しずつ伸ばせる思考力なのです。
💡似ているけど違う「クリティカルシンキング」と「ラテラルシンキング」
ちなみに、よく似た言葉に「クリティカルシンキング(批判的思考)」や「ラテラルシンキング(水平思考)」もあります。これらはロジカルシンキングと重なる部分もありますが、考え方のアプローチが少し異なります。
- クリティカルシンキング
→ 多角的に検討し「本当に正しいか?」を吟味する思考
👉 詳しくはこちらの記事で解説しています(クリティカルシンキングとは?)
👉 詳しくはこちらの記事で解説しています(実生活に活かす方法) - ラテラルシンキング
→ 常識にとらわれず、新しい視点やアイデアを生み出す思考
今回はロジカルシンキング(筋道を立てて整理する型)に絞って解説を進めていきます。
(※ラテラルシンキングについては今後別記事で詳しく紹介予定です!)
まとめのひとこと
- ロジカルシンキングは「筋道を立てて考える思考法」
- 特別な才能ではなく、後天的に練習で習得できる
- クリティカル/ラテラルシンキングとは少しアプローチが異なる
認知バイアスがロジカルシンキングを妨げる原因になる





でも先生…筋道立てて考えようとしても、なかなかうまく整理できない時があるんです…



それは自然なことよ。私たちの脳には“認知バイアス”という落とし穴があるからなの。
ロジカルシンキングを身につけようとする時、最大の敵のひとつが“認知バイアス”です。
認知バイアスとは、無意識のうちに思考が偏ってしまう心理的なクセのこと。
私たちは日々膨大な情報に囲まれ、すべてを論理的に処理するのは難しいため、脳はつい省エネで判断しようとします。これが思考の落とし穴を生み出します。
「省エネ思考」がバイアスの温床になる
認知心理学では、人間は「認知のケチ」として省エネ的に思考する傾向があることが知られています。
Toplakら(2014)の研究でも、この省エネ思考がバイアス発生の背景にあることを示し、認知リフレクションテスト(CRT)を通じて評価が行われました(出典)。
脳は複雑な分析を避け、すばやく結論を出そうとするため、認知バイアスに陥りやすくなるのです。
代表的な認知バイアスの例



たとえば、こんなバイアスがよく知られているわ
- 確証バイアス
自分に都合のいい情報だけを集め、反対意見を無意識に無視してしまう
👉 詳しくはこちらの記事で解説しています(確証バイアスとは?原因と対策) - 代表性バイアス
表面的な特徴だけで「〇〇だから××に違いない」と短絡的に判断する - アンカリング
最初に提示された数字や情報に引きずられ、正しい判断が歪む



うわ…なんだか思い当たることばかりです…!



誰にでもあるわ。でも、バイアスを自覚するだけでもロジカルシンキングの第一歩になるのよ。
認知バイアスを減らすコツは「一歩引いて考える」
認知バイアスを完全になくすことはできません。
でも、「今の自分は偏って考えていないかな?」と一歩引いて自問するだけでも、影響を減らせます。



実はこの“自分の考えを客観視する力”こそが、『クリティカルシンキング』にもつながっていくのよ。
まとめのひとこと
- ロジカルシンキングを妨げる代表例が認知バイアス
- 認知バイアスは脳の省エネ思考から生まれる
- まずは「自分もバイアスにかかる可能性がある」と気づくことが重要
ロジカルシンキングは「考え方の型」を練習で鍛えられる



なるほど…!でも先生、実際にどうやって練習すればいいんですか?



いい質問ね。ロジカルシンキングは“正しく考える筋トレ”みたいなものなのよ。型を覚えて、少しずつ練習するのが一番の近道よ。
考える「型」を身につける3つの基本ステップ


ロジカルシンキングを鍛えるときは、「整理 → 分解 → 検証」の3ステップで考える練習が効果的です。
- 問題の目的やゴールを確認
- 主語・条件・範囲を明確にする
- 事実と意見を区別
- 原因と結果を整理
- MECE(もれなくダブりなく)の意識で整理
- 論理の飛躍がないか?
- 前提条件は妥当か?
- 根拠が弱い部分はどこか?



この3ステップで考え続けるうちに、自然と“筋道を立てて考えるクセ”が身につくのよ。
💡例題で練習してみよう(初心者向け思考トレーニング)



先生、もう少し具体的に練習できますか?



もちろんよ!たとえば、こんな問題で考える練習をしてみましょう
【例題】
会社の売上が下がっている原因を考えてみよう。
- 目的:売上減少の原因分析
- ゴール:改善策を考えるための現状把握
- 要素
・商品力はどうか?
・価格設定は?
・競合の動きは?
・マーケティングの強さは?
・顧客層の変化は? - 事実と意見を区別
・「売上が落ちた」は事実
・「たぶん景気が悪いせいだ」は意見(要検証)
- データを確認
- 競合比較
- 顧客アンケート
- 過去の実績推移



なるほど…こうやって順番に考えていくんですね!



そうよ。答えを急がず、“考えの整理”を丁寧にするのがロジカルシンキングのコツなの。
教育研究でも「訓練は効果あり」と実証されている
教育現場でも、ロジカルシンキングの訓練効果は科学的に確認されています。
たとえばAbramiら(2015)の教育メタ分析(出典)では、論理的思考は学習指導によって安定的に伸ばせるスキルであることが示されています。
さらに、2022年の研究(出典)では、ロジカルシンキングの土台となる認知スキル(作業記憶や数的推論力)が論理的思考の成長と関連していることも報告されています。



つまり、ロジカルシンキングは才能じゃなく“育てる力”なのよ✨
まとめのひとこと
- ロジカルシンキングは「整理→分解→検証」の型を練習して鍛えられる
- 例題トレーニングで実践力が身につく
- 教育研究でも訓練効果が科学的に確認されている
ロジカルシンキングは仕事・学び・日常のあらゆる場面で役立つ





先生、ロジカルシンキングって練習すれば身につくのはわかったんですが…実際どんな場面で使えるんでしょう?



とても大事な質問ね。ロジカルシンキングは“考える力の土台”だから、実はあらゆる場面で活用できるのよ✨
ビジネスシーンでは「説得力のある提案」に直結する
ロジカルシンキングは、会議・プレゼン・資料作成・交渉などビジネスの基本スキルに直結します。
たとえば
- 会議での問題解決
→ 課題を整理し、原因と対策を筋道立てて説明 - プレゼン資料の構成
→ 結論 → 根拠 → 補足 → 反論対応 の流れで説得力アップ - 上司や顧客への提案
→ 相手の立場を考慮した「わかりやすいストーリー」で提案



“わかりやすい人”って言われる人は、実はロジカルシンキングが自然とできてるのよ。
学びの場では「理解力と説明力」を高める
ロジカルシンキングは学生・社会人学習でも強力な武器になります。
- 複雑な理論を整理して理解しやすくなる
- レポート・論文執筆で筋道立てた主張ができる
- プレゼンや口頭試問でも自信を持って説明できる



たしかに“なんとなく理解”じゃなくて“ちゃんと説明できる理解”に変わりそうですね!



そうそう、学びの深さもロジカルシンキングの力に左右されるのよ。
日常生活でも「迷いを整理して前向きに考えられる」
実は、ロジカルシンキングは日々の小さな判断にも役立ちます。
- 進路や転職の選択で情報を整理して比較検討
- 家計や投資などお金の判断でも冷静な検討材料整理
- 人間関係のモヤモヤを客観的に整理



感情に流されすぎず、一歩引いて考え直せるのもロジカルシンキングの大事な力よ。
実社会で「できる人」と言われる人は論理力が高い
企業の採用試験・昇進試験・面接などでもロジカルシンキングはよく評価されます。
特に、結論→理由→根拠の順で整理して話せる力は「話がわかりやすい人」と高く評価されます。
実際に多くの企業研修やMBA教育でも、ロジカルシンキングは基礎スキルとして必ず登場します。
まとめのひとこと
- ロジカルシンキングはビジネス・学び・日常すべての思考の土台になる
- 問題解決・説明力・判断力を高める効果がある
- 実社会で「わかりやすく話せる人」になる力に直結する
ロジカルシンキングは今日から始められる!初心者向け5つの実践ポイント





先生、ロジカルシンキングの大事さはよくわかりました!でも…初心者の僕でも、まず何から始めればいいですか?



もちろんよ。今日からすぐに取り組める5つの練習ポイントを紹介するわね✨
① 思いついた意見は「なぜそう思う?」と自問する
ふと浮かんだ意見・考えに対して「なぜそう思う?」「根拠は?」と一度立ち止まるクセをつけましょう。
これだけでも思考の整理力がぐんと高まります。



たしかに、考えた理由を説明しようとすると整理できますね!
② 「整理 → 分解 → 検証」の型を意識する
前章で紹介した3ステップ(整理・分解・検証)を常に意識してみましょう。
- まず整理する
- 次に分解して要素を洗い出す
- 最後に矛盾や飛躍がないか検証する



毎回完璧じゃなくて大丈夫。意識するだけでも脳は少しずつ慣れていくわよ
③ 他人の説明を「筋道」で聞く練習をする
ニュース・会議・動画など、他人の説明を聞くときに
- 結論は何?
- 根拠は?
- 前提は正しい?
…と頭の中で整理する練習をしましょう。人の話を分析するのも最高のトレーニングです。
④ 小さな日常の選択でも「整理」を試す
- 今日の昼ごはんを選ぶ理由は?
- 買い物の優先順位は?
- 時間配分の決め方は?



身近な選択でも“整理思考”を使うクセが、いざというときの判断力を育てるのよ。
⑤ 迷ったら紙に書き出して「見える化」する
頭の中だけで考えず、紙やメモ帳・ノートに書き出して整理すると、思考がぐんとクリアになります。
- 図にする
- 箇条書きにする
- メモを残す



たしかに書くと冷静に整理できますね!
まとめのひとこと
- ロジカルシンキングは今日からでも始められる練習がたくさん
- 完璧にやろうとせず「整理するクセ」を少しずつ育てよう
- 思考整理は仕事・学び・日常すべての武器になる
【まとめ】ロジカルシンキングは一生モノの「考える武器」



先生…ロジカルシンキングって、本当にいろんな場面で役立つんですね!



その通りよ。まさに一生モノの“思考の型”なの。
これまで見てきたように、ロジカルシンキングは
- 難しい特別な才能ではなく
- 誰でも練習で伸ばせるスキルであり
- 仕事・学び・日常のすべてで役立つ
そんな汎用性の高い「考え方の土台」です。
情報が溢れる現代、「冷静に整理して考える力」こそが、自分を守り、選択肢を広げ、チャンスを掴む力につながります。



焦らなくて大丈夫。今日から少しずつ、整理→分解→検証の型を意識してみましょう✨
あなたの考える力は、これからどんどん伸びていくわよ。
📝 ご注意ください
・本記事は、信頼性の高い文献や論文をもとに専門知識をわかりやすく整理した一般情報です。
・内容には十分配慮しておりますが、個々の状況や悩みには専門家へのご相談をおすすめします。
・内容に誤りやお気づきの点がございましたら、そっとお知らせいただけると幸いです。
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📚 参考文献
- Facione, P. A. (1990).
Critical Thinking: A Statement of Expert Consensus for Purposes of Educational Assessment and Instruction (The Delphi Report). ERIC Clearinghouse.
https://files.eric.ed.gov/fulltext/ED315423.pdf - Toplak, M. E., West, R. F., & Stanovich, K. E. (2014).
Assessing miserly information processing: An expansion of the Cognitive Reflection Test. Thinking & Reasoning, 20(2), 147-168.
https://doi.org/10.1080/13546783.2013.844729 - Abrami, P. C., et al. (2015).
Strategies for teaching students to think critically: A meta-analysis. Review of Educational Research, 85(2), 275-314.
https://doi.org/10.3102/0034654314551063 - Nogues, C. P., & Dorneles, B. V. (2022).
Cognitive skills as predictors of conceptual understanding of arithmetic in early grades students. Ciência & Educação, 28.
https://www.scielo.br/j/ciedu/a/thrwnM9xDmSPg5rYj7hrVgR/?lang=en